
drop
事例概要
川口市の住宅密集地に建つ「drop」は、約100㎡ほどの小さな敷地を最大限に活かした住まいです。計画の起点となったのは、ご実家に隣接した小さな空き地のようなスペースでした。
周囲に建物が迫る環境のなかで、設計を手掛けたリオタデザインの関本氏は土地の条件を丁寧に読み解き、家族の想いを叶える方法を探りました。タイトルの「drop」には、“Lucky Drop(残りものには福がある)”という、小さな土地から豊かな暮らしが広がっていく願いが込められています。
内部には、そのフットプリントが約40㎡であることを忘れさせる伸びやかな空間が広がります。二階に設けられたリビングエリアは、床の段差や出窓のベンチ、板張りの高く吹き抜けた天井、ロフトなどを組み合わせることで視線が先へと抜け、実面積以上の広がりを感じられる構成となっています。トップライトからは光と風が入り、開放感をもたらしています。
暮らしの中心となるリビングには大きめのテーブルを造作し、家族が自然と集まるようにしています。その横にはベンチを兼ねた小上がりを配置し、動線を丁寧に計画することで、限られたスペースを効率よく活用しています。テーブルの内部には、市販の収納ユニットの寸法を基準につくられたシェルフがあり、無駄な余白をつくらないための工夫がなされています。
建築コストが読みづらい時代にあっても、関本氏は「日常的に触れる場所こそ上質に」という考えを大切にしています。フィンランドでの生活経験も持つ関本氏にとって、見た目の豪華さよりも、使うたびに心が整う設えにすることこそが、暮らしを静かに豊かにすると考えるからです。
「DuraSquareの薄い立ち上がりは造形が美しいですね。水はねを抑える器としての質も高く、幅も広いので木製の天板と組み合わせるときにも安心感があります。水栓のC.1の操作感は指に吸い付くようで、毎朝触れるたびに気持ちが整います。オーバーフローをなくし、排水目皿も白い陶器で揃えることで空間にも映えますし、清潔感と品のある佇まいになると考えています」と関本氏。
「drop」は、家族の住まいへの想いと設計者の誠実な設計姿勢が響き合って生まれた住宅です。控えめなスケールの中に、やさしい光と大きな安心が宿っています。関本氏の設計には、常に“住まい手に寄り添う”姿勢があります。条件の厳しい土地でも理想と現実の間で最善を探し、「どうすれば叶えられるか」を考え抜く。それは、単に夢を形にするだけではなく、住まい手が本当に望む暮らしへと静かに導く原動力にもなっています。











